排尿時の痛みや、排尿後すぐに尿意が起こるなどの症状がある場合、尿道炎が疑われます。尿道炎は排出される尿が最後に通る場所で、尿道の粘膜に炎症を起こしている状態の総称が尿道炎です。様々な細菌やウイルスなどによって生じ、複数の感染症を合併しているケースもあります。
尿道炎は男性に多い疾患です。女性は尿道が短く、細菌などの病原体が膀胱に入り込んで膀胱炎を起こすことが多く、男性は尿道が長いので尿道炎を発症しやすいとされています。
当院は吉祥寺駅から徒歩1分の立地にあり、土曜日・日曜日・祝日も診療を行っています。尿道炎の症状でお悩みがある場合にもお気軽に受診いただけます。
尿道炎の原因
尿道炎は細菌やウイルス、真菌などの病原体が尿道に入り込んで感染することで発症します。原因となる病原体は数多く、複数の病原体に感染しているケースもあります。
病原体が侵入しても尿道炎を発症するかどうかは免疫力によって変わります。免疫が低下する糖尿病などの基礎疾患がある、免疫抑制治療を受けている、風邪などの病み上がり、疲労・睡眠不足・ストレス・生活習慣の乱れなどが免疫力の低下に関与します。
尿道炎の症状
男女ともに、尿道炎では排尿時の痛みを起こすことが多いです。ただし、焼けるような激しい痛みから、鈍い痛みを感じる程度など、痛みの程度には個人差があります。膀胱炎のような排尿の最後に痛みが生じる、尿意が頻繁に起こる症状もよく現れます。
男性では、尿道口から白や黄色の膿に似た分泌物が確認できる場合もあります。女性の尿道炎では分泌液はほとんどありません。
男性の場合、淋菌感染では強い症状が出ますが、クラミジアの場合は症状が軽く、無症状のこともあります。ただし、放置していると尿道が狭窄してしまい、感染が膀胱や尿管、腎臓にまで広がって、腎疾患につながる可能性もありますので、疑わしい場合は早めに受診して治療を受けることが重要です。
尿道炎の感染経路
性行為をはじめとした性的な接触で感染することが多く、特に淋菌やクラミジア、性器ヘルペスなどはほとんどが性的な接触によって感染します。また性感染症以外でも、大腸菌などの一般細菌が侵入し、免疫力の低下によって尿道炎を発症するケースもあります。大腸菌による感染は肛門やその周辺の衛生を保てないと感染リスクが上昇するとされていますが、はっきりとした原因はよく分かっていません。
尿道炎の検査・診断
問診で症状を伺った上で視診を行って分泌物の有無などを確認し、尿検査をして診断します。
尿検査では白血球数と細菌の数を確かめることで、炎症の状態や細菌感染の有無を把握します。必要に応じて、淋菌やクラミジア、一般的な細菌(雑菌)など原因菌を特定する検査を行います。
尿道炎の検査費用
※女性の検査や治療は婦人科受診をおすすめしています。
保険診療
診察と検査(尿検査またはうがい液検査)の費用、そして処方箋料として合計2,450円程度が目安となります。
※保険診療では「尿」か「うがい」のどちらか一方のみの検査が可能です。
自費診療
診察と検査1種類の合計8,800円程度が目安となります。
尿道炎の治療費用
保険診療
内服薬
薬局での自己負担は約1,000円が目安となります。
点滴の場合
点滴代は350円程度となっています。
※同日に検査を行った場合、診察料・検査代として別途2,250円程度がかかります。
自費診療
内服薬
1回の治療で処方されるジスロマック4錠は、8,800円が目安となります。
点滴
セフトリアキソン点滴の治療1回で、11,000円が目安となります。
市販薬と処方薬の違い
症状から市販薬を試すケースもありますが、尿道炎の原因となる病原体は数多く、それぞれに合わせた治療をしないと一時的に症状が治まっても悪化してしまう可能性があります。また、尿道炎の症状があっても、尿道炎以外の病気が原因となって症状を起こしている可能性もあります。
できるだけ早く、きちんと治すためにも、疑わしい症状がある場合には医療機関を受診して検査を受け、適切な治療を受けましょう。
尿道炎の注意点
性感染症による尿道炎の場合、たとえ症状がなくてもパートナーが感染している可能性は高く、早急な検査が必要です。ご自分が治療を受けてもパートナーが感染していれば繰り返し再発して状態が悪化しやすくなります。パートナーと同時に治療を受け、しっかり病原体がなくなったことを確認するまで治療を続けることが重要です。
なお、尿道炎では症状が改善していても尿道内に原因菌が残っていると再び増殖して症状がぶり返すことがよくあります。医師の指示に従って治療を受け、必要な場合は再検査で原因の病原体の消失を確認するようにしましょう。
尿道炎の予防
一般の細菌感染と性感染症のどちらであっても、免疫力を下げないことが予防に大きく役立ちます。免疫力が下がると病原体が増殖しやすくなります。健康維持に役立つ栄養バランスのとれた食事、十分な休息と睡眠、軽い運動の習慣化、生活習慣の改善、ストレスの上手な解消などによって免疫力もアップします。
また、清潔を保つことも感染症の予防には不可欠です。ただし、近年、温水洗浄便座の登場による洗い過ぎで皮膚のバリア機能が低下し、感染しやすくなっているケースがありますので、注意が必要です。
また、性感染症予防には、性的な接触の最初から最後まで、正しくコンドームを装着することも重要です。
その他のページはこちらから
症状の解説ページ
- 陰部(性器)の痛み
- 陰部(性器)のかゆみ
- 陰部(性器)のできもの
- 睾丸(精巣)・尿道・亀頭の痛み・腫れ
- 咽頭に現れる症状(のどのイガイガ・痰がらみ・痛み)
- 全身に現れる症状(できもの・倦怠感・発熱)
- おりものの異常(量が増える・黄緑色・悪臭)