性感染症は予防できる疾患です
性感染症は、正しい予防を行うことで、感染リスクを軽減できます。
性行為をしない
最も確実なのは、セックスや性的な接触を一切行わないことですが、現実的ではありません。
決まったパートナー以外とはしない
ご自分とパートナーの双方が感染していなければ、感染する可能性はありません。ただし、お互い以外とは性行為を行っていないことが確実で、さらに双方がSTD(性病・性感染症)の検査を受けて互いが感染していないことを確認しているカップルは少ないと思います。
そのため、パートナーが変わった場合などは性感染症の検査を受けることで自分だけではなく大切なパートナーも守ることに繋がります。
不特定多数との性行為は感染リスクが高く、どこで感染したのかを特定することも難しくなりますので、ご自分が治療をしても再度感染してしまうことも多いです。
コンドームを必ず正しく使用する
確実性の高い予防法は、性行為の際に最初から最後までコンドームを正しく使うことです。コンドームというと避妊具と捉えられていますが、正しく装着することで性感染症の予防にも有効です。セックスだけでなく、オーラルセックス、アナルセックスでも必ず使用することが重要です。コンドームも最近では女性に優しいもの、オーラルセックスに適したものなどが登場していますので、使用感が気になる場合には適したものを探してみましょう。
「もしかしたら」と感じたらすぐに検査を
感染が疑われる場合には、すぐに医療機関を受診して検査を受けることが重要です。性感染症は、放置せずに治療を受ければ感染を広げずに済みます。放置してしまうと感染を広げてしまい、重篤な症状や深刻な病気の発症につながる可能性が高くなります。また、性感染症は自覚症状がないケースや、ちょっとした違和感程度の症状しか現れないことも多いです。「もしかしたら」と感じた場合や以下のような症状がある場合には、できるだけ早く医療機関を受診して検査を受けましょう。
男性の場合
- 陰部に違和感がある・ムズムズする
- 排尿しづらい
- 性器にかゆみや腫れがある
女性の場合
- おりものの臭いが強くなった
- おりものの量が増えた
- 陰部がかゆい
性感染症は自然治癒しません
適切な治療が必要です
性感染症は、基本的に自然治癒することはほとんどありません。症状が軽いからと放置してしまうと深刻な症状に進行してしまう可能性が高くなります。医療機関で適切な治療を受けることで初めて性感染症の原因となる細菌やウイルスなどの病原体を体内から取り除き、治すことが可能になります。
少しでも疑いがある場合や、「もしかしたら」と感じたら、できるだけ早く医療機関を受診して検査を受けましょう。また、性感染症は医療機関できちんと治しても、再度うつって感染を繰り返すケースも多いです。
性感染症の予防では、精液や腟分泌液、唾液などの体液が粘膜に触れないようにすることが有効です。再感染を防ぐために、性行為の際には最初から正しくコンドームを装着することを徹底しましょう。
ご自分やパートナー、そしてご家族の健康を守るために、早期受診や予防がとても重要です。
以下も併せて行うと性感染症の予防に効果的です
性行為の前後に必ずシャワーを
性器だけでなく、口内や皮膚など、人間の身体には性感染症の原因となる多くの細菌やウイルスなどの病原体が付着しています。セックスの前後にシャワーを浴び、石鹸で洗い流して清潔を保ちましょう。傷や血液からも感染を起こす可能性があります。歯磨きで口内が傷ついて出血すると感染リスクが高くなりますので注意しましょう。
性行為の前に排尿・排便
排尿・排便してからシャワーを浴びて石鹸で洗い流すことで、便に含まれたウイルスによる感染を防ぐことができます。また、女性は排尿を我慢して性行為をすることで膀胱炎リスクが高くなります。また、性行為後の排尿は、病原体を洗い流す意味でおすすめです。
パートナーの性器を確認
パートナーの性器を確認することも重要です。男性の性器は、イボやブツブツ、尿道口の赤みや膿の有無を確かめましょう。女性の性器も、イボやブツブツ、おりものの悪臭の有無を確認します。また、陰毛周辺を頻繁にかいていないか、そして下着に体液がついてゴワゴワしていないかは男女共通で確認した方が良い点です。
粘膜を傷つけない
粘膜や皮膚が傷ついてしまうと感染リスクが高くなります。デリケートゾーンは伸びた爪やギザギザな爪、器具の使用などで簡単に傷ついてしまいます。傷や血液を介して感染しやすい状態にならないようにしましょう。なお、器具にはコンドームを装着すると傷つきにくくなります。
体調不良の際には性行為をしない
過労や睡眠不足、病み上がりなどで免疫力が低下していると、感染リスクが高くなります。また、感染していても症状がほとんどないまま潜伏する性器ヘルペスなどでは、免疫力が低下している時の性行為をきっかけに症状が現れる場合もあります。
生理中に性行為をしない
女性の生理期間中は、性器がデリケートな状態で傷つきやすく、感染リスクが上昇します。また生理による出血でパートナーを感染させやすいです。
屋外で性行為をしない
屋内と比較すると屋外は衛生状態が非常に悪く、様々な病気の感染リスクが上がります。また、屋外では指や爪が汚れたままですので、感染リスクがさらに上昇します。公園や砂浜などだけでなく、車の中も高リスクです。
清潔な寝具を使う
寝具にいる可能性がある病原体には、ケジラミや疥癬を起こすヒゼンダニなどがあります。清潔な寝具を使うようにしましょう。
タオル・歯ブラシ・剃刀などは自分専用のものを
タオル・歯ブラシ・剃刀などは自分専用のものを使うようにすることで、付着した病原体による感染、また血液による肝炎ウイルスやHIVなどの感染を防ぐことができます。これらの共有を避けましょう。
現在の状態を知るための検査を
性感染症は感染していても無症状や違和感程度の症状しか現れないことも多いです。決まったパートナーがいる場合でも、ご自分の現在の状態を確かめるために、HIV、クラミジア、淋菌、梅毒、B型肝炎などの検査をおすすめしています。忙しく受診が難しい、症状がないので受診しにくいなどの場合には、自宅でできる性感染症検査キットによる検査も可能です。なお、セックスする機会が多い方は、定期的な検査が必須です。