男性の性器の先端部分である亀頭と、亀頭を包む皮膚の包皮に炎症を起こす疾患です。赤みや腫れ、かゆみ、膿などの症状を起こし、特に包茎(仮性包茎・真性包茎)の方や肌が弱い方、糖尿病の方に生じやすいとされています。
亀頭や包皮の湿度や温度などが細菌や真菌にとって増殖しやすい環境であり、常在菌の異常増殖、カビの1種である真菌感染を起こすことがあります。性感染症の淋菌やクラミジアによる感染でも生じることも知られています。また、石鹸や洗浄し過ぎなどの強い刺激による炎症を起こすこともあり、複数の原因が関与しているケースも存在します。放置していると症状が悪化してしまう可能性がありますので、疑わしい症状がある場合には早めにご相談ください。
当院は吉祥寺駅から徒歩1分の場所にあり、土曜日・日曜日・祝日の診療も行っていますので、お忙しい方でも気軽に受診していただけます。
亀頭包皮炎の原因
亀頭や包皮は垢がたまりやすく、湿度や温度も細菌や真菌の繁殖に適していることから、もともと存在している大腸菌や黄色ブドウ球菌、真菌など常在菌の感染による炎症を起こしやすい傾向があります。不衛生にしていると感染リスクが高くなりますが、洗いすぎて皮膚のバリア機能が低下することで感染しやすくなるケースもあります。
性感染症の淋菌やクラミジアによる感染で亀頭包皮炎の症状を起こすことがあり、一般細菌との合併を起こしている可能性もあります。
感染症以外でも亀頭包皮炎が生じることがあり、その場合は洗浄力の強い石鹸や洗い過ぎによる摩擦などの刺激がトリガーになって炎症を起こします。またアレルギーによって炎症が起こっている可能性もあります。
亀頭包皮炎の症状
炎症が起こっていますので、赤みや腫れ、熱感などを生じます。かゆみ、痛みを起こすことも多く、膿や皮がむけてしまうなどの症状を起こすこともあります。
原因菌により特徴的な症状が現れた場合には、そこから感染の原因菌を絞り込んだ検査が可能になります。また、一般細菌(雑菌)の多くや淋菌では赤みが強く出ることが多く、腫れや黄色い膿なども生じます。真菌のカンジダでは白や黄色で匂いの強いカスがたまり、強いかゆみを生じやすくなります。こうした症状を見極めながら適切な検査を行って診断します。
亀頭包皮炎が起こりやすい方
包茎の場合、亀頭が包皮で常に包まれていますので、清潔が保ちにくく、細菌や真菌の繁殖に適した温度や湿度が保たれることで常在菌による亀頭包皮炎を発症しやすい傾向があります。
また、疲労や睡眠不足、栄養の偏り、運動不足、ストレス、生活習慣の乱れなどで免疫力が低下していると感染リスクが高くなり、亀頭包皮炎を繰り返すことがあります。糖尿病に罹患中で尿糖がでている方や糖尿病の治療として尿中に糖を排泄する薬をお飲みの方も起きやすく、また、免疫抑制の治療を受けていると感染リスクが上がります。
洗浄し過ぎや皮膚の乾燥によってバリア機能が低下していると、感染を起こしやすくなります。アトピー性皮膚炎の場合、炎症部分から細菌が入り込んでしまうこともあります。
亀頭包皮炎の検査・診断
問診で症状について詳しく伺い、必要に応じて視診で状態を確認します。細菌性の亀頭包皮炎が疑われる場合には、皮膚や粘膜の病変から組織を採取して培養し、原因菌を特定する検査を行います。
亀頭包皮炎の治療
細菌による亀頭包皮炎の場合には、抗生物質の軟膏や内服薬による治療が有効です。真菌のカンジダが原因で生じている場合には、抗生物質による治療では効果がなく、抗真菌薬を用いた治療が必要です。
ただし、感染している病原体が複数のこともあり、細菌と真菌の感染が併発しているケースもあります。そうした場合にも有効な薬を組み合わせることで治療が可能です。
なお、細菌や真菌などの病原体が原因ではない亀頭包皮炎の場合には、炎症を抑制する軟膏を使った治療を行います。
市販薬と処方薬の違い
亀頭包皮炎では赤みやかゆみといった日常的な症状が起こることも多く、自己判断で市販薬を使ってしまうケースがありますが、原因の病原体によっては症状改善に有効な市販薬がなく、処方薬でしか治せないケースも多いです。また、患部がデリケートゾーンであり、炎症で過敏になっていることから市販薬では刺激が強く、悪化させてしまう可能性もあります。
適切な治療を受けてできるだけ早く治療効果を得るためには、医療機関を受診して検査を受けることが重要になります。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
亀頭包皮炎の注意点
不衛生でも発症リスクが高くなりますが、逆に清潔を保つために過度な洗浄を行うなどでも皮膚バリア機能が低下して感染リスクが上がってしまいます。また、強く洗う、洗浄力の強い石鹸やボディソープを使うなどの過度な刺激によって炎症が起こることもあります。治療中はもちろんですが、治ってからも汚れはぬるめのお湯で優しく洗うよう心がけましょう。
なお、性感染症である淋菌やクラミジア、カンジタなどに感染している場合は、パートナーも感染している可能性が高いので必ず検査を受けてもらうようにしてください。なお、性感染症では、症状がなくなっても体内に病原体が残っている間は治療終了となりません。治療後に再検査を行って病原体の消滅を確認する必要があります。
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